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蒼の髪と銀の雨

PBW・シルバーレインのキャラクター、「巫名・芹(b40512)」のブログです。 後ろの人の代理人(A)との対話や、SS、RP日記などを書き連ねて行きます。最新記事は右側に。シリーズごとのssはカテゴリに。雑多なものはそれぞれカテゴリにちらばっています。                                                                                                       ―― 一人の努力で、なにものにも耐える礎を築けるだろう。しかし、誰かと共にあれば、その上に揺るがぬモノを建築できるのだ。…しかも楽しい――「音楽の先生」

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みどりのかがみの。つきいろの。

――ああ、楽しい。
 前もって兆候を示し、警戒させて、集った命を散らせてゆく。散らせた命を、拾い上げてゆく。
「――っ、はは…!」
 えび茶式部の、”あの子”と同じ姿を返り血に少しだけ汚しながら、彼女は笑う。手にした刃で首を刎ね、想軌を編んでは血煙を立ち上らせる。
――始まりは、山中の川沿い。夜桜を愛で、月を仰ぎ、刃を手に駆け抜ける。間にある命など、舞台を飾る花吹雪でしかない。
「――クソッ! 早すぎる! 各隊に伝えろ! 早」
 声は濁った音に変わり、ついでに蹴りぬいた腹部はひしゃげ、体幹を捻じ曲げられたように吹き飛ぶ。
 ある者は脚を砕かれ、足を貫かれ、恐怖に顔を引きつらせたまま肺を踏み潰される。月と、少女の顔を見上げながら、その幻想に震えながら悶え、血を溢れさせる。
「…来たよ、芹? さっき面白い事見せてあげたんだから…もう、いいよね?」
 万全を期させるため―もっとも、これ自体不意打ちだが―夢を送り込んだ。すでに”送心”は途切れているため、芹は目覚め、行動を開始しているはずだ。
 飛び掛る術師の腕を事も無げに切り落とし、右の手で首を掴み、奇妙な音と共に投げ飛ばす。…まだ年端も行かない術師は樹木に叩きつけられ、悲鳴も出せないままやわらかな残骸となる。
「脆いね。わたしも丈夫じゃないけど、芹。…壊れないで、ね?」
 遊びに。そう呟いて、ゆるりと歩みを進める。
 斬撃も。
 狙撃も。
 魔術も。
 彼女には届かない。その歩みも、想いも、止まらない。止められない。

――ばちゅ。……ぱぁー、ん。

「…! よし…! 対象の狙撃に成功! 繰り返す! 対象の―」
 止まらない。血を溢れさせ、崩れた身体は再び立ち上がり、微笑みながら彼を見つめる。
 止められない。第二射を放つ前に、彼女によって蹴り上げられた砂が、小石が。無数の殺意となって身体を貫いた。
「…第二十式魔術貫徹弾。そいつを頭に食らっても死なないようなお転婆か…ちょっと手が焼けそうだな?」
 その彼女―鏡月。の目前に、黒字に白の文様が刻まれたコートを纏う男が姿を現す。
「久しぶりだな、お嬢ちゃん? …まあ、こんなカタチで再会するのは感動的とはいえないが、な」
 欧真・透。”不可視の刃”の使い手にして、巫名の剣。杷紋の事件の後、その刃を振るいつつ巫名・芹の守護を買って出た者。…洗脳下の出来事とはいえ、負けて格好悪いままではマジでダセぇ。とは本人の言。
「そんな事、ここへ来る前に分かっていた事だろう? …それにそのお転婆を御せるのは私達じゃなく、あの子だ。時間稼ぎというのも胸の悪い話だが」
 隣に立つは、布都・錫那。…鏡月を取り巻く流れを追う、巫名の従者にして剣。黒いローブの内で、二振りの短剣を握りなおす。
―彼女もまた、巫名・芹を守護する…というより、鏡月討伐の協力である。具体的な日時が巫名にもたらされていたため、即応部隊が動くこととなったのだ。

「…あなた達に用は無いの。わたしは、芹と―」
 鏡月が言葉を紡ぎ終わるより早く、欧真の纏う白の文様が銀色の力を宿す。
「―……へえ、面白いね。見えてるのに、見えてない。まるで芹の瞳みたい」
 悪戯げに微笑む鏡月の仕草は、芹のそれと同じ。…寒気が走るほどに。
「…まあ、確かに見失いがちな子ではある。が、今はどうでもいい」
 錫那もまた、胸中で殺意を解放する。時間を稼ぐとは―即ち、全力で殺しにかからねばならない。芹と、ナズナに賭ける為にも。僅かでも相手の命を削り、願わくばナズナや芹の手を汚すことも避けたい。
「うん、どうでもいいね。…あそぶことが大切」
 鏡月がそう答える。欧真が距離を測る。錫那が気配を張る。
 周囲に、他に動くものはいない。狂騒の後で、最後の宴を――

―――
――


時は、幾刻か遡る。


「…残念だね」
 一人、呟く。
「あの日、アタシはガラにもなく泣いた。…二度と、こんな理由で。二度と、異能解決は必要ない―すなわち、もう会うことは無いって、さ」
 煙草に火を点ける。…煙草でも吸わねばやってられない。
「でももう、会っちまった。それなのに、あの子は未だ苛まれている。…生まれたときの呪いに、異能に、自分自身にさえ…」
 そして、芹はギターを弾くことすら避けてしまっていた。…つい最近、弾こうとした場があるらしいが。恐らくは”解禁”を意味するものではないだろう。
「……アタシはあの子に、何をしてやれたのかねぇ…助けられたと思っていたし、普通に大分近づいたとも思ってたけど。 独り善がり、か…」
 ふー。と、煙を吐き出す。…場所は、想い出の詰まった、この部屋。もう二度と帰らないと思っていた、部屋。
「…さよならの黄昏。か…あの日も、こんな綺麗な夕暮れだった…か」
 夕暮れは別離の象徴。一日が別れを告げ、そして芹と…大川もまた。5年間ずっと、夕暮れの中で別離を繰り返していた。
「でもね、芹。夕暮れはさよならだけじゃないンだ。…確かにその色が強いけれど、夕暮れにしかない暖かさもあるって…あンたは、それに気付かないほど馬鹿じゃぁないはずだ」
 かつての―大川にとっては、今でも―教え子に呟く。今はいない。そう、今は。
「…今夜、か。被害は小さく…ならないんだろうね。相手が相手だ。巫名も備えをして、そしてその分だけ痛みを負うんだろうさ…」
 業者に運び込ませていた冷蔵庫のスイッチを入れ、サイフをジーンズのポケットに突っ込む。
「――さて。沈むのは今のアタシの仕事じゃないね。いちご牛乳とコーヒー牛乳…あと、一応食べるものを買っておかないと」
 白衣を羽織り、煙草をポケットに突っ込んでドアを開け、通りへ出る。あの頃の、毎日と同じように。
「本当に、最後だ。アタシにできるのは、これくらいだからね――」
 3年を隔てた授業の為、大川・葉子は歩き出した――
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