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蒼の髪と銀の雨

PBW・シルバーレインのキャラクター、「巫名・芹(b40512)」のブログです。 後ろの人の代理人(A)との対話や、SS、RP日記などを書き連ねて行きます。最新記事は右側に。シリーズごとのssはカテゴリに。雑多なものはそれぞれカテゴリにちらばっています。                                                                                                       ―― 一人の努力で、なにものにも耐える礎を築けるだろう。しかし、誰かと共にあれば、その上に揺るがぬモノを建築できるのだ。…しかも楽しい――「音楽の先生」

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そして宣告が。

「――ッ!」
 ばっ、と上体を起こす。同時に今まで睡眠に沈んでいた意識が完全に覚醒する。
「……」
 自分の両掌を見つめ、”聞こえた”事を頭の中で繰り返す。何度も何度も、自分が普通とかけ離れた面を”与えられた”事実を。

 恋をしない。その要素がない。50メートルという単位に、100グラムという単位が結びつかないように。
 心が欠けている。感情が、想いが。引き換えに想軌の才能を、巫名の歴史に残るほど備えている。
 子を、宿さない。心の一部を殺された時、術師が戯れに施した呪い。器官はあっても、カタチを為す前に本人の魔力がすべての可能性を刈り取る。

 つくりもの。おまえは、つくられた。私の、複製品。
 日常を、幸福を、過ごす事は許されない。生得した力が、与えられた力が、歪められた心が、決して許しはしない。
 それでも過ごそうとするなら、日常を壊すだけ。本人が望んでも、悪意が、殺意が、必ず向けられて壊される。

―あなたに、そんな権利は認められない。

「…冗談…」
 聞いたことのある声だった。むしろ、いつも似た声を聞いている気がする。そう、すぐそばに。その声の持ち主を知っている。…強烈な殺意と歪みのカタマリ。
 瓜二つの姿をした、同じ気配を纏った、それでも違う存在。
「回りくどいことをしますね…それに、不愉快です」
 呟きながら芹はベッドを下り、クロゼットから手早く装備を取り出し、身に着ける。えび茶式部に一振りの蒼い長剣。それと試作品だという、やはり蒼色の―こちらは細身の―長剣。
 最後にライフルを取り出し、”想軌用の”カードへと収納する。
「壊すというなら、先にこちらが壊しに行くだけ。…必ず、来ますね?」
 手法は分からないが、想軌を使ったことは間違いない。そうして、夢の中へ直接声を投影してきたのだ。そしてそんな事をするという事は、即ち―

「…――っ…――!」

 小屋の外から、おぞましい叫び声が聞こえた。距離が離れているのか森の中なのか、音源は遠い。
 言葉も発さぬまま小屋の外に飛び出した芹を、じわりと粘っこい気配が迎えた。
「…来ましたか。それにしても、戦闘が起こるなら連絡を――」
 不意に感じ取った気配に剣を一閃――する直前に、もう一つの影が音もなくその気配に飛び掛り、地面へ落とすと同時に首を一掻きにする。
「ナズナさん…?」
 黒い戦闘服に身を包んだ男の首を刃で引き裂きながら、影…ナズナが立ち上がる。
「ああ、芹…ごめん。本当はもっと早く伝えなきゃいけなかったのに」
 手にした短剣を一振りし、血を払いながらナズナが言う。その間にも、周囲の森からは奇妙なざわめきが響く。
「いえ…それより、来たのでしょうか?…その、彼女が」
 芹の言葉に頷くと、それ以外にもオマケがたくさん。と付け足した。
「規模は大きくないけど、あちこちで戦闘が始まってる。…そして敵の指揮を執るのは、芹と同じ姿をした彼女。巫名家はこれを”鏡月”と名付けたよ」
 きょうげつ。その名を呟き、芹はじわりと思考を切り替える。
「わかりました。…とにかく、話している暇はないでしょうから―」
 背後に降り立った気配を振り向きざま蹴り飛ばす。と同時に魔力が炸裂し、意識を暗い闇へと導く。
「うん。すぐ行こう。場所の目処はついてるから、急いで!」

 駆けながら、芹は思う。私は複製ではないと。
 敵を斬りながら、芹は考える。仮に心が欠けていても、私は私であり、オリジナルだと。
 魔力の光を操り、芹は結論する。複製品でない事が証明されれば、私は構わない。幸福が手に入らなくても、心が壊されていても、それらにさよならを告げて、ただ私として在ればいい。

―私が私たる根源は、ただ私にある。他の誰にも、他の何にも拠らない。縋らない。必要がない。
 心が欠けていても、子が宿らなくても、諦めてしまえばいい。そう、自身を否定されるより、ずっといい。
 だから。私を。複製品なんて呼んだ存在は。
 だから、私を、複製品なんて呼べる存在を。

「……す」

―ただ走る。
 さよならを、届けに―
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