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蒼の髪と銀の雨

PBW・シルバーレインのキャラクター、「巫名・芹(b40512)」のブログです。 後ろの人の代理人(A)との対話や、SS、RP日記などを書き連ねて行きます。最新記事は右側に。シリーズごとのssはカテゴリに。雑多なものはそれぞれカテゴリにちらばっています。                                                                                                       ―― 一人の努力で、なにものにも耐える礎を築けるだろう。しかし、誰かと共にあれば、その上に揺るがぬモノを建築できるのだ。…しかも楽しい――「音楽の先生」

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後日録。呼ばれた魂の真相。(戦闘RP後日談)

「…よし、これで当分は大丈夫だ」
 とある森の中、寂れた廃村のさらに奥。白い家の前で座り込んでいた若い男が立ち上がり、呟く。
「しかし、仲間の助けがあったとはいえ大したものだ。さすがは”力ある者”か…」
 感嘆したように呟くと、目前の白い家を見上げる。
 その姿は年齢に見合わぬ程の風格と落ち着きを纏い、只者ではない事を伺わせる。
「しかし芹がここに来た時は、まだ”発生”する程の思念は無かった筈…ここに監禁されていた少女とて、解放をもたらす筈の芹に危害を加えるつもりはなかった筈なのだが…」
 短い黒髪の奥から周囲を眺めつつ、男は考えを巡らせる。
 穏やかになった廃村を労るかのような風が吹き、男の纏う若草色のコートをふわりとなびかせる。
「…考えても分からないな。ともかく、報告書を作成。然る後、詳しく調査させる事にしようか」
 最後にそう呟くと、男は廃村を後にした。


「当主っ!」
 帰るなり怒鳴られる情けない当主の図。
「ちょ、ちょっと待て!何故何も聞かないでなおかつ私が何も言わないウチに怒声を浴びせられなければならないのだ私は!?」
 怒鳴られながらも問いかけるが押されていて情けない当主の図。
「報告書が出来たので届けに行ったらいないし、和美さんに訊いたら外出した、しかも行き先は分からないとの答えが来て……これで怒鳴らずにいられる筈が無いでしょう!」
 艶やかな黒の長髪に和服。いかにも大和撫子といった出で立ちに見合わぬ程の剣幕で捲し立てる女性の手の中で、報告書らしき数枚の紙がぐしゃりと音を立てる。
「わ、分かった!分かったから報告書を握りつぶさないでくれ!読みづらくなる!」
 そう言う当主の腹部に報告書もろとも拳を叩きつけると、女性は廊下を歩いて執務室へ戻ってしまった。
「な、なぜウチの女性はあんなのが多いんだ……もっと風格というものを大事にしてほしいね、全く…」
 今しがた殴られた部位をさすりながら、男――当主こと、巫名・零次――は報告書に目を通す。
「……なるほどね。それなら、唐突に思念が実体化した理由も納得が行く。……だが、これは……」
 そこにあったのは、例の廃村で過去に何が行われていたかという調査結果。そして、突然ゴーストが発生した理由として最も高い可能性を持つ、ある仮説だった。
「……これは…彼女に任せるには荷が重過ぎる……」
 内容をそのままではなく、とりあえず過去の事件だけを巫名・芹に知らせるよう手近な者に手配すると、零次は廊下の窓から空を見上げ、呟いた。

「いかに彼女といえど、”狂気”には勝てない、か――」
 窓から吹き込んだ風が、書類をひらり、となびかせる。
 そこにあった名は。

『壱月』を示す、ある言葉。だった。



「…?」
 ゴールデンウィーク直前の、最後の授業日。
 連休を前にしているせいか、クラスメイトから町の人々までが楽しげな雰囲気に包まれていた、そんな日。…もっとも、芹本人は特にそういった気分にはならなかったのだが。
 以前寝泊りしていた学生寮へ再入寮するための手続きを終え、森の屋敷……その自室へと帰って来た芹の目に、一つの封筒が飛び込んだ。
「…『廃村における屍人発生に関する報告書』……この間の、でしょうか」
 本家からの依頼を受けて『浄力符』による場の浄化をするために向かった、あの廃村である。
 結局は間に合わなかったのか、大量のゴーストが発生。応戦している所へ知人が助力に入り、どうにか窮地を脱した後に元凶と思われるリビングデッドを討滅。当初の目的である『浄力符』を発動し、廃村の力場を浄化する事に成功したのだった。
「…確かに、少々異様な場所ではありましたし…気になっていましたね」
 封を切りつつ、芹は少女のリビングデッドを思い出す。
 尋常ではない程の思念、怨恨、殺意。
 もしも一人だったならば間違いなく仲間入りしていたであろう、強力なリビングデッド。
「……」
 思い返しつつ、芹は報告書に目を通してゆく。


―――廃村における屍人発生に関する報告書

イ.廃村の過去について

◆件の村には、代々術師が生まれる血筋があり、農耕から村の自衛に至るまで、その霊力を活用していたという記録がある。
◆具体的には、天候の予測や雷火を操っての害獣駆逐、傷病の治療や諸所の魔除けのまじない等である。
◆これにより、小規模な村でありながら比較的に豊かな生活が確保できていたと思われる。
◆外部に交流の記録が無いのは、術師の血筋が外部に流出する事をおそれたためか、あるいは特異ゆえの迫害を避けた為と推測されるが、村に所属していた全ての血筋が絶えた今、確認する術はなく、また入手した記録にも詳しい理由は記載されていなかった。
◆なお、この村はおよそ30年前を境に衰退し始め、25年程前に屍人や妖獣を呼び込み壊滅している。
◆以後、注意区域として巫名家の管理下にあった。

ロ.発見された少女の屍人について

◆名前は『天津・マユラ』。前述した術師の血筋、その最後に生まれた強力な術師である。享年16歳。
◆類まれなる魔術能力と、強力な霊的干渉能力を併せ持った『申し子』であった。
◆その能力故に忌み子、そして魔力を有する器として扱われ、その力を封じるため特別に結界が施された白い家に軟禁されていた。
◆閉鎖的で術師に頼る傾向が強いこの村において、強力な力を持つ彼女の権利はほぼ無いに等しかったと思われる。白い家の二階、遺体があった部屋の引き出しにしまわれていた日記によると、異界との橋渡しと称して暴行を受けていた可能性が非常に高く、子を孕んだ際には”力の引き戻し”として食人を強要されていた可能性が高い。
◆上記から推察されるように、村人は既に正常とは言い難い”常識”をもって少女に接していた。また、度重なる魔術的儀式や”橋渡し”の儀式により、徐々に少女の正気も蝕まれて行ったと思われる。(いずれも、記録資料から読み取る限りでは少女の肉体的、精神的限界を超えていた事はほぼ確実である)
◆これらの事象が重なった結果、少女も徐々に正気を蝕まれ、最終的に25年前の災厄を引き起こしたと思われる。年端も行かぬ少女の精神が16歳になるまで耐えられたのは、”力ある者”の宿命だろうか。
◆具体的な災厄の内容については次項に記述する。

ハ.災厄について

◆具体的開始時刻は不明。白い家に軟禁されたまま、無数の”儀式”を受けた事により少女の精神が魔力や狂気を支えきれなくなり、暴走したものと思われる。
◆解き放たれた少女の力は周囲の思念や眠っていた屍人を呼び起こし、村人達を殺害。その遺体は屍人達に地面や水中に引き込まれたと思われる。
◆この件に関して生存者が確認されていない事から、村と外界との間に何らかの障壁か結界が発生していた可能性も高い。
◆断末魔と狂気に渦巻く村の奥、白い家にて世話人を虐殺、その魂を人形に封じ込めるとこれを破壊し、尽きぬ苦痛を与え続けた。(思念会話により確認済)
◆村が静かになり始めた頃、いつも一人でいた部屋の天井にフックを打ち込み、手芸用の麻紐を使って首を括り自殺を計るも、魔力に相応の生命力が仇となり失敗。紐に魔力を通して”刃”の力を付与。頸部を半分ほど切り裂いた後に雑霊を召喚し、自らの生命力を食らわせ絶命した。(思念会話により確認済)

ニ.再発について

◆その後、少女の思念と狂気が混合。時を経るにつれ思念を呼び込む意識体として残留し、再度災厄を呼びこもうとしていた為、浄力符による浄化の命が下った。
◆万一再発していれば、付近の森林一体が文字通り「死の森」と化していた可能性が高い。
◆以上の理由から充分に余裕を持っての依頼・実行だったが、何らかの理由により災厄の発生が大幅に促進され、此度の交戦が発生した。
◆原因として最も有力なものとして、強力な術者による力場の活性化、及び新規に展開された術式による促進が挙げられる。
◆その実行者の特定には至っておらず、現在調査中である。

ホ.後処理について

◆少女の思念と改めて”会話”する事に成功。能力者達の尽力により狂気が払われ、浄力符により土地の束縛からも逃れた少女が願う事は”解放される事”であった為、丁重な儀式の末思念を解放する事に成功。屍人となっていた遺体も儀式処理の後に巫名家管理下の屍人墓所に埋葬された。
◆村人の屍人については儀式により焼却後、村の墓地へと埋葬された。後日、改めて行われた儀式によって思念を解放。一帯の安全を確保する事に成功した。
◆廃村については巫名家の術師が出向き、白い家を中心に最終的な浄化作業を完了。廃村の終焉は時間に任せる事となった。

―――――4月27日作成 記録者:布都・雅、巫名・梓


「……」
 報告書を読み終わり、芹はふう、と息をついた。
「解決したならよかったです。…辛かった、でしょうね…」
 呟くと、芹はギターを手に取り、窓を開けて縁側に腰掛けると、演奏を始める。
「…自由になれたなら、風を、空を……触れたいものを感じて、せめて安らかに…」
 紡がれる旋律は、柔らかに穏やかに。死者を弔うのではなく、聞く者に安らぎを与える為のもの。
 命あるもの、無いもの、全てに優しく触れる、まるで羽のような涼やかな旋律。

 幾分かの間、旋律を紡いで。
 ふと、弦を弾く手を止めると、空を見上げて芹はぽつりと呟いた。
「聞こえましたか?」
 応える者はいないが、それでも。

――ありがとうと、伝わって来た。気がした。





「後日録。呼ばれた魂の真相」終――




あとがき

 今度はそこそこ早くできた気がします、こんばんは。本編そっちのけですけどね!
 戦闘描写に頭を悩ませているのです…まあ、最後まで書くのは確定なのですが。

 というわけで、4月24日にメガリスドライブにて行われた戦闘RP、その後日談です。
 ぶっちゃけ「ss書こう!」と思ったのが終了10分前くらいだったので、勢いで書きますと言った半日後には後悔していたりしました(オイ
 でもまあ、言いましたからね!後悔といっても、「どう書くか決めてなかった!」という意味で、書くことを宣言した事はむしろ喜ばしかったです。
 ってゆーか、それくらいしないと示しがつかない気がしたんだもん!思った以上に楽しんでいただいたみたいだし、ぶっちゃけ勿体無かったんだもん!

 という訳で、半ばどころか9割思いつきの後日談ss企画、これにて完結です。
 ぶっちゃけ殆ど箇条書きなのでssというより本当に資料みたいになってますけどね…!手抜きっぽくてゴメンナサイ!
 その代わり伏線というか、次に展開するssシリーズの足がかりを思いついたので仕込ませて頂きました。
 多少ダークというかもろにダークな感じですが…まあいいじゃないですか!
 勿論、その前に今進行中のシリーズssを終わらせます。終わらないうちにシリーズ展開するのは身を滅ぼす原因になりますからね。

 それでは、今回はこの辺りで失礼します。
 巫名・芹ともども、これからも宜しくお願いします。それでは~(ノシ
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無題

先日の画像といい今回といい、流石としか言えないな。
もちろん、今までのSSもだ。私の背後的には先生とか透とかが結構なツボらしい…感想じゃないな、これは(笑)
まぁ背後に爪の垢の一欠片でも飲ませたいと何度思った事やらだ。

MDに上がっているのは見かけるんだが、背後の活動時間と見事にすれ違っているから顔を出せずにいるなぁ…。
そうでなければ既に定員に達しているかだ。
まぁ人が集まるのにはそれなりの理由がある、やむを得ない事と我慢しておこう(苦笑)

コメントしていない事は多いが見てはいるから、芹も背後も頑張ってな。
  • コーネリア
  • 2009/05/04(Mon)00:18:21
  • 編集

おつかれさまです

事件に立ち会った一人として、心痛む過去と
解決されたという証明をこの目で拝見し、
いまはただ冥福を祈る気持ちを抱いています。

またわたしの力が必要な時は、いつでも協力
いたします。治療しかできませんが、友人として
全力を尽くしますね。

芹さん、おつかれさまでした♪
  • 永月・ヒナノ
  • 2009/05/04(Mon)18:25:19
  • 編集

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