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蒼の髪と銀の雨

PBW・シルバーレインのキャラクター、「巫名・芹(b40512)」のブログです。 後ろの人の代理人(A)との対話や、SS、RP日記などを書き連ねて行きます。最新記事は右側に。シリーズごとのssはカテゴリに。雑多なものはそれぞれカテゴリにちらばっています。                                                                                                       ―― 一人の努力で、なにものにも耐える礎を築けるだろう。しかし、誰かと共にあれば、その上に揺るがぬモノを建築できるのだ。…しかも楽しい――「音楽の先生」

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初夏。涼風駆ける森にて。(試験的ssです。期待せずにどうぞ)

――草を踏みつけ、駆ける音。
――軽く乱れ、やや不規則になった呼気。

――草の上を駆けるような、軽い音。
――獲物を狙い、喉奥から漏れるような唸り声。

 巫名・芹は走っていた。それも全力で。
後方には3匹の、やや暴走気味な剣狼。さらにその後方には2体のリビングデッドと…大変にまずい状況であった。

――事の発端は、夕涼みに森を散歩し始めたことだった。
以前は酷く迷ったことすらあったが、今となってはまるで庭…とまで行かなくとも、屋敷「時流四季園」の周辺はある程度頭に入っていたし、何より森を歩くという技術が向上している。
 そんな余裕もあって、”今日はちょっと遠出してみよう”などという考えが生まれ…実行した結果がこれである。

 森の中にはゴーストに滅ぼされた廃村があり、そのまた奥には、未だ多くのゴーストたちが蔓延っているという話である。
 この日芹は、前者の廃村…すなわち、「一応は」ゴーストから解放された区域を散策していた。
そのうち復興…は相当難しいと思うのだが、それでも弔ったり掃除したりするのには、村の構造を把握することは重要である。
…とはいえ、深入りすれば危険である。夜が遅くなる前に帰ろうと、芹が村を出ようとした時。

――。

 物置のような小屋の一つから、微かな物音。
安全な区域だという油断、そして好奇心もあって、遠巻きながら芹はそこを覗きこんでしまった。すると――
 そこには、どういうわけか2体の男性のリビングデッドと3体の剣狼がおり、こちらに気付いた剣狼が、すぐさま恐ろしい速度で駆け出してくるのが見えた。
幸いな事に距離は近くはなく、剣狼の初撃より早く"起動"、離脱し、距離を取ることができた。
結果、剣狼と後続を分断することに成功し…どうにか体制を立て直せそうな状況まで漕ぎ着けたのである。

 だが、"起動"しているからまだ何とか持っているが、芹は元々、持久力や筋力が優れている訳ではない。むしろ、その欠点を補うために速度や柔軟性を持っているようなものである。
故に、こういった「長距離を」疾走する等といった行動には向かず、早々に別の対応策…つまり応戦をするタイミングを掴まねばならない。

「…そろそろ、でしょうか」
後ろを確認すると、近くに剣狼が3体。やや遠くにリビングデッドの姿が二つ見えた。
充分に距離をとれたと判断し、この場で剣狼を撃破することを決断。足を止め、手にした刀を正眼に構える。

 突如立ち止まった獲物を目掛け、まず一体の剣狼がその速度をさらに高め、跳躍。肩の刃をもって、その脇腹を貫こうとする。
立ち止まれば好機と飛び掛ってくる――実戦経験の浅い芹でも、その程度の察しはついている。
 となれば、あとはそれに反応するだけの感覚と敏捷性の勝負である。
正眼に構えた刀を下へ流し、同時に刃を返す。直後――下から払い上げるような斬撃。
 予備動作を最小に抑え、しかし高速で振るわれたそれは剣狼の肩口を捉え、双方の勢いもあって深々と切り裂き、跳躍の勢いを殺いで、その向きを脇へと逸らさせる。

 一体目の剣狼が短い悲鳴と共に目標の脇をすり抜け、草むらに突っ込むと同時に、その草むらから二体目の剣狼が芹の背後を、別の草むらからは三体目の剣狼が右側面を狙い飛び掛る。
 ――高速で確実な連携…切り払うにはやや時間が足りない。
そう判断した芹は、まず身体を左回りに旋回。刀の柄を持つ左手の手首を押さえるように右手を添え、背後から飛び掛ってきた剣狼を柄で横殴りに打ち据える。
その勢いのまま三体目の剣狼へ向き直り、刀身でその牙と刃を受け止め後方へ流す。

「危ない…」
呟きつつ右手を二体目の剣狼へ向け、術式とその軌跡をイメージしつつ、指先で起動式を編む。
直後、描かれた術式から炎弾が放たれ、態勢の整わぬ剣狼を直撃。さほど派手ではない爆音を響かせ、魔力の炎を煌かせながら剣狼を包み…その活動を完全に停止させる。
 そして、先程後方へ流した剣狼が再び死角を狙おうと、姿勢を整え跳躍――する直前に芹が向き直り、鋭い踏み込みと共に刀を一閃。加速された斬撃は的確に剣狼を捉え、妖獣の苦痛から解放する。

「ふぅ…」
一息つき、走ってきた方向を見遣る…まだリビングデッド達の姿は遠い。が、油断は許されない。
 右手で中空に起動式を描き、放った魔力が術式を通して自身に循環するイメージを投影する。
直後、魔力が逆流。身体の疲れが癒されると共に、魔力が強化されるのを感じる。
それに伴い、余剰魔力の活用によって身体能力――俊敏性や反応速度等――が強化され、より戦闘に純化されていく。
「…先に謝ります。ごめんなさい…」
呟き、向かって左側のリビングデッドへ右手を向けた。

「蒼き光、我が指先に宿り、絵筆となりて術式を描け…」
炎弾と軌跡をイメージし、さらにイメージを強めるための詠唱を呟き、指先で起動式を描く。
直後に火線が延び――リビングデッドの胸部を打ち据え、一撃で地面へ沈める。
 それを確認し、芹はもう一体のリビングデッド目掛けて疾走。
横薙ぎに振るわれた何かをすんでの所で回避し、カウンター気味に斬りつける。
だがやや浅く、リビングデッドは一瞬よろめくと、振り抜いていた「何か」を強引に芹の腰元目掛け叩きつけようとする。

「…っ!」
 踏み込みが浅かった事、そして反応し飛びのいた事が幸いしたのか、直撃は免れた。…が、脇腹に鈍い痛みが走る。
右手で触れると痛みがずきりと響き、その指には赤い血液がついていた。
「っ…危なかったですね…」
 見ると、リビングデッドの手には血錆の浮いた、大振りの鉈が握られていた。
回避できたから良いものの、万一直撃すればタダではすまないだろう。
 だが、不意を突かれさえしなければそこまで恐ろしくはないはずだ。
”当たらなければどうということはない”と、クラスメートが言っていた気がする。その通りだ。
 その鉈の軌道に警戒。相手の行動の癖や戦術を読みきろうとする。
が、その攻撃は想像以上に速く、思いのほか隙が無い。半端な回避で態勢を崩せば、致命的な打撃を受ける可能性すらある。

「…っ」
 肩口を鉈が掠める。
後方へ飛び退き距離を取りつつ、反撃の機会を伺う。
…攻撃そのものは大振り。その腕力で強引に勢いを捻じ伏せ、連続的且つ高速な攻撃を放っているようだ。
 とすれば、腕力と勢いが乗り切っているタイミング…振りぬく瞬間は隙が生まれると考えられる。
相手は人間ではないためにスタミナだの筋持久力だのは関係ないため、その隙はかなり小さいだろうが。
「それなら、それを大きくすれば…」
 小さく呟き、刀を構える。
対策は考え付いた。あとは実行するのみ。

 リビングデッドが、芹に向かって鉈を振り下ろす。幾度目かの攻撃。
芹はそれを射程ぎりぎりで回避。同時に、鉈の背にあわせるように刀を乗せ、そのまま地面へと勢いを加速させる。

 どざっ

 鉈が鈍い音と共に土中へ突き立ち、リビングデッドの体勢が崩れた。
その顔は芹のほうへ向き、口からは何かうなり声のような…恐らくは怨嗟、が聞こえてきた。
それを動力とするように鉈を引き抜き、目前の敵をたたき割ろうとする。
…が。
「ごめんなさい…」
 術式を描き、軌跡と魔弾をイメージし、呟く。
「そして…おやすみなさい」
 そう言い終わるのと、放たれた魔弾が爆ぜ、リビングデッドが倒れ伏すのはほぼ同時だった。

 周囲を見渡し、油断なく気配を探る。
剣狼とリビングデッドは撃退し、森には静けさが戻ってきたものの、今の気配で新手のゴーストが出現する可能性もある。
「……大丈夫そう…ですね」
 探っても、感じられるのは風の音、虫達の声、木々の音…
少なくとも、危険な気配はもう感じられなかった。

「…ふぅ」
 装備をイグニッションカードへ戻し、芹は屋敷へ足を向ける。
歩きながら、倒したリビングデッドと剣狼の冥福を祈る。死者や動物に深入りしてはいけないと良くいわれるから、あえて簡単に。
「どうか…安らかに…」

 次いで……夕食のメニューを考えていた。
もしかしたらもう済んでしまっているかもしれないが…それでも。
「それでも…ひょっとしたら、皆さんを待たせてしまっているかもしれませんからね」
 呟き、屋敷へ向かう足をほんの少し早める。
軽快な足取りで日常へと帰ってゆく。
屋敷へ戻れば、楽しく夕食を食べて、ゆっくりと布団で眠れる…等と考えながら。

「さて、早く帰って夕食の準備、ですね」


そして、初っ端の全力疾走が仇になり、結局迷った芹が屋敷へ戻れたのは、それから40分も経ってからの事だった。
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おー、お帰りでござるよ。
今日は遅かったでごz――

……血の、ニオイ。(ぼそ

ああいや、夕食は今準備しているでござるから、
良かったら手伝ってくれぬかー?(厨房に向かい

――今日は疲れただろう?
早く休んだほうがいい。(微笑
 
  • 紅葉
  • 2008/07/22(Tue)13:15:21
  • 編集

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