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蒼の髪と銀の雨

PBW・シルバーレインのキャラクター、「巫名・芹(b40512)」のブログです。 後ろの人の代理人(A)との対話や、SS、RP日記などを書き連ねて行きます。最新記事は右側に。シリーズごとのssはカテゴリに。雑多なものはそれぞれカテゴリにちらばっています。                                                                                                       ―― 一人の努力で、なにものにも耐える礎を築けるだろう。しかし、誰かと共にあれば、その上に揺るがぬモノを建築できるのだ。…しかも楽しい――「音楽の先生」

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現行時流。過ぎた日々の偶然・潜んでいた意図。

 2008年 10月某日  晴れ

 夕暮れ。
昼と夜との境界線。一日の終わりを告げる使者。
人間にとって危険が増す、夜への入り口。逢魔時という言葉もある。
空が紅に染まり、雲を照らし地上に影を落とすさまは美しいが、同時に不気味さも感じさせる。
そしてその紅の光は、あたかも学校施設の保健室のような室内にも入り込み、白い壁を色づかせていた。
―まるで時を越えて色あせるように。

「世界の終末ってのはこういうモンなんかねぇ…」
 煙草をふかしつつ、大川がそう呟いた。
――我ながらなんてつまらないコトを言ってるんだ―と、そんな事を考えながら。
「……何よいきなり?気持ち悪い事言わないでよ」
 苦笑しながらそう返すのは、一人の女性。

―髪は腰程まであり、色は蒼。飾るでもなく、ただ重力に引かせているだけのストレート。
服装は黒いロングスカートに白のブラウス、今は畳まれ膝に掛かっているコートもまた白い。
化粧らしい化粧は殆どなく、いわばナチュラルメイクというものだろうか。
線が細くやや小柄な体躯と、柔和でいて凛々しさを感じさせるその顔立ちは、殺風景な部屋にあって少し浮いていた―

「ンあ?…まぁそうだけどね…たまにゃいいだろ?」
 大川が相変わらず面倒くさそうな声と仕草でそう返し、灰皿に煙草の灰を叩き落とす。
「別にいいけど……今日はそういう用事じゃないでしょ?」
 女性はその雰囲気を慣れた様子で受け止め、話を本筋に戻そうと試みる。
どこか、焦燥を含んで。
「あぁ、忘れてる訳じゃないよ。ただ……」
 微かに微笑みながら、灰皿にそのまま煙草を突き刺す。
「ただ…?」
 表情と話題とはなかなか一致しないことが間々ある…そう思いつつ、女性が問い返した。
「ただ、あんまり良い話じゃぁ、ないよ……」
 言いつつ、大川は新しい煙草に火を点け、
「それでも…って、言う必要もないかね?」
一服。そして、

「睦月」

 煙に続け、女性の名を呼んだ。意思の確認と、再会の確認として。
「…ええ、勿論よ。そのために来たんだもの」
 女性―睦月は軽く頷き、大川を真っ直ぐに見据える。
「……おっけ、分かったよ。…それにしても」
 大川も応え…睦月を見返し、
「良く似てるねぇ……さすがは親子、ってとこかい」
 にやりと笑って、煙草を咥える。
「…そう…嬉しいわ。…長く会ってないのに、まだ似ているなんて」
 睦月は、それに苦笑しながら応える。
「会ってないったって、まだ1年も経ってないだろうに。…そりゃ、その間一回も会ってなかったンだから、そう思うのも分かるけどね」
 大川が冗談めかし…念のため、理解していることは伝えておいた。というより実際よく分かるのだ。
自分でさえ、"あの子"に2ヶ月会わないだけでも、大分退屈だったからだ。

 巫名・睦月(みこな・むつき)
巫名家の当主候補であった(実際には今でも、である。扱い上は)、巫名・芹の母親。
家系外の人間であるにも関わらず術適性が高く、その力は当主連中を震え上がらせたほど(そのときは、とある調理器具が武器だったが)。
 魔術や各地の結界、異常現象の究明・研究等で各地を飛び回る生活で、娘には殆ど会えていない。
その心配故か、時節的に旬の果物などを大量に贈ってしまう凶悪な癖があり、8月には大量の梨を送りつけていた。
 娘とよく似ており、髪と瞳の色は殆ど同じである。
体格もやや小柄で……しかし、スタイルは受け継がれなかったようで、こちらはそこそこ平均的であった。

「…なに?」
 睦月が不思議そうに首を傾げる。
「いや……遺伝って、不思議なモンさね…」
 そう言うと、大川は咳払いをし、話を切り出した。

「さて…そろそろ本題に入るかいね」
 そう言うと、大川は幾枚かの書類を机に広げ、気だるそうに目を通してゆく。
それらは、芹と大川の交流…その中にあった、いわば本来の目的。その集大成。
「…いつのまにか、あのコと話したり、ギターを演奏することが主になっちまったけどね」
 苦笑する大川を、睦月もまた苦笑しつつ見返す。
「私としては、そのお陰で助かったと思ってるわ。…そうでなければ、今頃は…」
「傀儡と言いたいのかい」
 言葉に詰まった睦月に、大川は静かに問いかける。
「…ええ。今頃は、"仲のよくない連中"に捕まって、いいように利用されていたかもしれない」
 恐らくそれは事実である。
当主やその派閥が味方についている(正確には協力「させた」のだが)とはいえ、表立って行動することは無いだろう。代わりはいるし、危険を冒す必要も無い。
 となれば、敵対する派閥、力を得たがっている派閥に目をつけられ、隙あらば利用しようとするだろう。
今でさえ、決して安全とは言えない。協力者を得て未然に圧力をかけてはいるものの、いつ動きがあってもおかしくは無いという状況なのだから。
「そうさね…ま、とりあえず今は大丈夫なんだ。これからのことを考えれば良いさ」
 大川は少しおどけた口調でそう言うと、煙草を灰皿に突き刺し、新たな煙草に火をつける。
「相変わらずね…健康に悪いわよ?」
「煙草吸って早死にするほうが、禁煙して長生きするより10倍は幸せさ」
 呆れたように苦笑する睦月に、大川は間髪入れず応答する。
「そうね…それで、どうなの?」
 睦月が表情を引き締め、本題に話を戻す。
「…報告って意味だね?…良いニュースと悪いニュースがあるンだけど」
 大川は書類を二つの山に分け、それぞれを煙草を挟んだ指で示した。
…どちらを先に聞くか選べ、という事だ。
「悪趣味ね………良いニュースからって相場は決まってるでしょ?」
 呆れたように睦月が言い、大川は向かって右側の書類に手をかけ、話を開始しようとする。
と、その時。
「まず」
「待ちなさい。…悪いニュースからお願い。相場通りなんて、つまらないわ」
 どこかしてやったような表情で睦月が言い放つ。
大川は少し驚いた表情をし…ついで、ニヤリと笑った。
「あンたも大概趣味悪いと思うがねアタシは…」
「何年付き合ってると思ってるの?」
 お互いにどこか不敵な笑みを浮かべあうその姿は、お互いにも貴重な場面であった。

「じゃあ、悪いニュースからだ。…結構マジだから、覚悟しな」
 言いつつ、大川は睦月の顔をちらと見る。
「…ま、言うまでもなかったか」
 呟き、大川は書類を見ながら話を始めた。
「あぁと…今はっきりしてるのは、1・問題の抱え込み。2・孤立の拒絶と集団への恐怖。3・"果てない理想"…ま、こんなもんかね」
 そこまで言うと、大川は煙草を咥えて睦月の言葉を待つ。
「……3番目が、なんだか詩的な感じがするけど?」
 まあ予想していた問いかけであった。大川自身、少し違和感を感じた言い回しだったのだ。
「ああそれは…なんつーかな」
 煙草を持つ手を宙に彷徨わせ、説明する言葉を吟味する。
「…そうさね……あのコは、今の自分よりもっと強くなろうとする…力でも、心でも。で、それが叶うとさらに上を目指す。…その一連のサイクルが、時折尋常でないくらいに強くなるんだよ」
 上手く伝わったかがいささか不安であったが。
「…つまり、向上心ってこと?」
 問題なかったようだ。
「そう、向上心。まあそんだけなら普通のコでもあることだ。理想が高すぎるってのはね。そして挫折や妥協を覚える。…ただ、あのコの場合は…実現しちまうから問題なんだ」
「…何か問題があるの?」
 向上心が強いのは何ら問題ではないし、実現できるに越したことはない…筈なのだが。
「大いに問題さ。…確かに、普通のコなら問題ない。結局妥協しなきゃいけないんだ。いつか勝手に折れる日が来る。…ただあのコは…芹は能力者だろ?魔術師であり、剣士でもある能力者で、かつ素養もある。伸ばそうとすればするほど伸びるンだよ。…問題は…」
「…限界が見えてない、とか?」
 睦月の問いに、大川は首を横に振って応じる。
「いや…それならまだいい。現実を否定するなら別だけど、いつか限界を知るときが来る。…あのコは、今の自分で出来ることをおおよそ知った上で、尚それを超えようとする。そして成長によって限界を引き上げようとする。それだけならまだいいンだけど…あのコは自分に捕らわれすぎてるんだ」
「他人を見ようとしない?」
 大川の言葉に睦月は呟く。勿論そう思ってではなく、あくまで可能性の問題だ。
「いやそうじゃない。"自分の力はこれくらいで、それを超えてもなお足りない。成長しなければ、強くならなければ"って、一種の強迫観念なんだよ。自分は絶対に強くなって、他の人の役に立たなければ、一般の人々を助けなければっていう強い義務感に追われている。……そして皮肉な事に、それに追われている間は、あのコは強くはなれないんだ。一人じゃ限界があるのに、一人でやろうとする…これは"1"にも関係するんだけどね」
「………そう」
 睦月は何か考え込むように大川の話を受け入れていた。
「…案外冷静だね?」
 いつのまにか新しい煙草に火をつけつつ、大川は睦月に向かって呟く。
「えぇ…他の事や良いニュースを聞くまでは、何も決めるわけにはいかないから」
 睦月はいたって冷静にそう言い放つ。
―一人にしてしまったからかもしれない…そんな罪悪感を、微かに胸に感じつつ。
「…それもそうだね。それと…あンたは悪くない。気にしなさんな」
 大川はそう言うと、いつものようにニヤリと笑い話を続けた。

「まあ、あとはあっさりだよ。まずは1・問題の抱え込みから」
 数枚の書類をめくりつつ、大川は話を続ける。
「起こった問題…当然全部じゃなくて、自分も関係した事柄だけどね。その問題を抱え込む傾向にある。…ただ、他者に何らかの影響が出る場合はその限りではなく、あくまで個人的なもの…例えば、救えなかった罪の意識や、さっきみたいな自分の悩みや迷いの類、それから、自分が成し遂げられなかった事象かね。…そういうものに関して、他人に相談することをしない。皆無ではないが、 1割にも満たないだろうね。さらに、そこそこ上手く誤魔化すから周囲も気がつきにくい。これについても、良いニュースを聞くまでは結論を待って欲しいね」
 一息にそこまで言うと、軽く深呼吸をして、息継ぎのように煙草に口をつける。
「…そう。もっと、相談に乗ってあげられるように気遣えばよかったわね…」
「なァに。聞いたところでなんでもない大丈夫って来るだけさね。…アタシもそうだったし、殆どの人はそうなる。仕方ないんだ」
 後悔している様子の睦月に、大川はあえて明るい(だがどこか気だるげな)声でフォローを入れる。
「……そうね。…それで、二番目のは?」
 うん、と軽く頷き、大川はさらに別の書類を手に取る。
「あのコは個人で努力をするが、孤独を愛している訳じゃない。…要するに、ひとりぽっちでは自分に押しつぶされてしまうから、無意識に避けているんだろうね。だから、孤独というものを強く拒絶する…これは物理的な意味じゃなくて、概念的な意味で、ね」
 大川はそこで一旦言葉を切ると、睦月を見やる。
睦月は軽く頷き。
「…いいわ、続けて」
 大川もまた軽く頷くと、話を続けていく。
「で、集団への恐怖…ってのは、まぁそのまんまだ。大人数の中に身を置くことに、大なり小なり恐怖を感じる。だから行事も避けがちだし、あるとき突然それが強くなって、精神的に疲労することもあるみたいだね。…つまり、今言った"孤独の拒絶"と矛盾してしまう。その矛盾が一番の問題さね」
「…一人でも、一人じゃなくてもダメって事ね」
 大川が言い終え、睦月が呟く。
「ま、そんなとこ…ただまあ、これは交流で慣らしてしまえば良いから、どうしようもないように聞こえても意外と大したことはないよ。あのコも、別に人嫌いって訳じゃないしね」
 言いつつ、大川はもう一山の書類に手をかける。
「さあ…次は良いニュースだよ。…何、少しは心配も晴れるだろうさ」
 何だかんだで暗い表情をしていた睦月に、大川はおどけるように言ってみせる。
「そうね……期待しておくわ」
 その心遣いを感じつつ、睦月は微笑を浮かべつつ答えた。

「まず…当初あった不安定さはほぼ解消されたよ。別の…悪いニュースのほうので、いくらか不安定な部分はあるけど、大分安全だと思う」
 夕暮れで止まっていた時間は徐々にその流れを取り戻し、今ではごく普通の流れとなっている。
大川にしてみれば、かなりの収穫といえるのだ。
「そう…良かったわ。うちの魔術師は、どうも不安定になりやすい傾向があるから…」
「イメージの力…いわば、イメージを現実にフィードバックして力を行使するんだ。そりゃ不安定にもなるさ…とりあえず、その特有の状態からは抜け出せたし、もう心配しなくていいよ」
 想軌。イメージの力を術式によって具現し、行使する魔術。
力が強いということは、それだけ現実に干渉する意思の力が強いことになり、それは境界線が曖昧であるとも言える。
幼い頃よりその修練を続けてきた芹は、特にその影響が強かったのだ。
「ありがとう。…あなたのお陰ね」
「まあ、話してたら勝手に直ったようなモンだからさ、気にしない気にしない」
 睦月の礼に、大川は照れたように手を振りつつ苦笑いをする。
そしてそのまま話を続ける。どうも照れくさい。
「んで、次…実は、これが悪いニュースを打ち消す要素なんじゃないかと、アタシは思ってるんだけど…」
 そこで一旦言葉を切ると、睦月を見ながらニヤリと笑い、
「友達に恵まれてるようだよ」
 やや緊張気味だった睦月の気配が一気に緩む。
「そう…良かった…」
「なんだかんだで、交友そのものはまともに出来るからね。一緒に買い物に行ったり、ふざけあうこともあるみたいだね」
 そう話す大川の表情は、どこか楽しげだ。
「良い友達が出来たのね………なるほど…それで悪いニュースが…」
 睦月も微笑みながら話し、同時にどことなく納得する。
「そう。…実際、別に根拠はないんだけどね…ただ、あのコらなら、アタシじゃ出来なかった事…今日の悪いニュースだね。それを解決する手助けになってくれる…って思うのさ。ムシが良い話だとは思うけどね」
 そう言って、紫煙を一服。
「…そうね。私たちが手を出すより…そのほうが良いでしょうしね」
 睦月も微笑みながら頷き、大川に同意する。
「そういうこと…っと、そろそろ時間かね」
 大川が書類を片付けつつ、時計を見て呟く。
「そうね…葉子、今日はありがとう。…少し安心できたわ」
 睦月も帰り支度を整えつつ、大川に礼を言う。
「いいっていいって。後半はアタシも趣味みたいなモンだったしさ……あ、マズイ」
 手をひらひらと振りながら答える大川の動きが、突然止まった。
「……どうしたの?」
「悪いニュース……ひょっとしたら一番大事なことを忘れてたよ…」
 深刻な表情の大川に、睦月の笑顔が消える。
「……何?」

「……恋愛に興味がないってか、鈍感らしい。自分にそういう感情が芽生えることを想像することもできないみたいでね…映画や小説なんかのことは分かるみたいだし、他人のそれを知ることも出来る。でも、自分にそれを抱かれたり、誰かを好きになるって感覚が分からないみたいなんだよ……このままだと、ずっと一人身」

直後、大川の頭に書類が叩きつけられる音が、景気良く響いた。



                 ―「現行時流。過ぎた日々の偶然・潜んでいた意図。」 完―

 あとがき

 こんにちは。
実は皆さんに謝らなければならないことがあります。
結局いつものノリでしたごめんなさいー!(土下座!)
いやはや…大雑把な話は頭に出来ているものの、それを整理せずに書くという悪癖は結局そのままのようです。

 色々小難しいことを書いたものの、結局は交流こそが一番という事ですね。
ちなみに、なぜ先生が芹の私生活(というほどでもないですが)を知っていたかは、次のお話で説明する予定です。
また、あくまでもss展開なので、普段のRPには全く気にしなくてOKです。混ぜると色々厄介ですし(笑)。

 それでは、今回はこのあたりで失礼します。
よろしければ、またお出かけ下さい。
それでは、ごきげんよう・・・
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